謝辞
この度、BLACK REBOOTに興味を持っていただきありがとうございます。
本作の前作にあたる「BLACK LABO」は、私が学生時代に製作されました。
BLACK LABOは、私が当時大好きだったステルスゲームの理想形を求めて作成されました。当時世間に出ていたメジャーなステルスアクションに無い「ランダム性」「被発見による大きなリスク」を実現した結果、主観的にシビアで緊張感あふれるゲームになりました。完全に自己満足の産物として誕生しました。
当時はプログラマーとしても駆け出し以前の状態であり、制作ツールとして使用していたRPGツクールVXに搭載されているRGSS(Ruby Game Script System)はもちろんのこと、Ruby言語に深く触れる事自体が初めての体験でした。数多くの試行錯誤、設計ミス、稚拙な実装のもと、ツギハギだらけでBLACK LABOは完成されました。
完成されたBLACK LABOの完成度は、不安定なシステムの上で稼働します。数カ月間におよび、ユーザーからのバグ報告を極力早く解消する形でのアップデートを行いましたが、それでも未だにシステムがクラッシュする事、追跡者が予期せぬ場所に移動する現象が発生します。設計の稚拙さが招いたスパゲッティ・コードの可読性に限界があり、バグフィックスを諦めた結果です。
XyliShootにとって、BLACK LABOは大きな失敗でした。もちろん、制作によって学べた点は多く、その後の自身の成長に繋がったことは言うまでもありません。作品を1つ完成まで導けたというのは、いい経験ではありました。
一方、自分の中でBLACK LABOは、1年ほどすればネット上からも完全に忘れ去られる作品だろうな、と想像していました。ゲームシステムに100%注力した結果により、当時フリーゲーム市場を台頭していた「キャラクター性」や「独特なシナリオ」を無視して作られていたため、プレイヤーの心に残るようなものではないなと製作者ながらに思っていました。マーケットを完全に無視していたのです。
しかし、Twitter、YouTube、ニコニコ動画等のSNSサービスで、ふと思い立ってたまにエゴサーチをしてみると、今現在でもぽつりぽつりと話題が出てくるところを見させていただけました。その方にとっていい思い出として残っているか、悪い思い出として残っているかはともかく、未だに話題に出していただけるということに非常に大きなありがたみを感じていました。
ありがたみを感じると同時に、「あの完成度のまま語り継がせるのはいかがなものか」という感情が湧いてきました。バグ、システムの理不尽性、秘匿されすぎたシナリオの背面等、もっとプレイヤーを楽しませる事ができたはずという反省点を解消せずにいる現状に歯がゆさを感じていました。
SNSでのエゴサーチや交流で未だに話題に出していただける喜びと、そんな方々にもっと貢献したいという気持ちから(そしてついでに、新作として立ち上げた「BLACK TOWER」がいつまでたっても完成しないスランプを脱する目的もちょっとあって)2020年4月初頭、短期間で完成させると決めて「BLACK REBOOT」プロジェクトをひっそりと始動させました。8月の盆休みまでに完成させると決め、ずっと製作を続けていました。
工数は想像以上に多く、休日や自由時間のほとんどを製作に費やしましたが苦痛はありませんでした。「まだBLACK LABOを覚えてくれている人がいる」という思いが、私の製作モチベーションを大きく上げてくれました。そして、100%の出来ではないにせよ、完成という形に持っていくことができました。
この場を借りて、Web上でBLACK LABOに関する話題を上げていただいたすべての方々に深い感謝の意を表明させていただきたく思います。皆様の一言一言が、たとえ何気ないものだったとしても、私の背中を強く押してくれました。
本当に、本当にありがとうございました。